外観部品に魂を入れるのが彫刻や印刷などの加工法。 ツマミなどのメモリを入れる。社名や商品名のロゴをいれる。 商品のグレードや、使用される環境によって選択される。 彫刻: 使用頻度の高い部分のメモリ、油がかかる部分の表示、小ロットである ためにプレス工程など型での捺印をあきらめた場合に多く用いられる。 一般的な彫刻機の構造は、小学校で習ったテコをイメージしてもらおう。 力点⇔支点⇔動点 力点と支点の距離が1、支点と動点の距離が4とすると円周方向に力点 を1cm移動させると動点は4cm移動するという原理だ。 力点にセンサとなる針を付け、マスターの原版の溝を探る、 (レコードの針がレコード盤のV溝を探るのと同じ) 動点にスピンドルモーターをつけてドリルを取り付ければ マスターの原版の4倍の形状が彫刻できる。 力点⇔支点⇔動点の間隔を変化させることにより縮尺・倍率を変化させる。 中心になる「支点」をX−Y方向に平行移動できる構造にして、力点で マスターの文字形状などをスキャニングする。リアルタイムでアーム長に よる倍率の文字などが描ける。飛び地形状の文字やブランクの部分は、 スピンドルを上げ下げして彫刻する。 一般的に、金属に塗装後 彫刻を行い、削ったV溝にカラーの塗料を 筆などで塗りこみ(色入れ)完成させる。 シルク印刷: 年配者は思い出していただこう、小学校時代にガリ版で刷った学級新聞を! または、中学の美術の時間にやった「ろうけつ染め」を! 両者に共通した手法、インクを通したい、染色したい部分は透過性をもった 繊維をとおして色づけをおこなう。 染めたくない部分は、インクなどの水分を通さないロウのような耐水皮膜を付 てから染める。 透水性を持った繊維として、以前は「シルク」絹が多く使われていたので こう呼ばれるようになった。(現在では絹に変わり科学繊維が使われているが) 木枠に布をピンと張って、このフィルターに染料を刷り込んでいくという作業に なるので、被写体は平面か少ししかカーブしていない部品になる。 タンポ印刷: シルク印刷で出来ない平面ではないところに印刷をしたい、これを叶えるのが タンポ印刷だ。球面形状や、波面のところなどが得意な印刷方法。 加工法のイメージとしては、皆さんが子供のころに軟式テニスのゴムボールに マジックで名前を書いた直後に手で握ったら、手のひらに名前が反転してし まったという経験をお持ちではないだろうか。 金属の版に文字を反転させた溝を掘り込む、 凹になった文字の溝に希望の塗料を刷り込む、 溝以外の部分の余った塗料を拭き取る。 凹に残った塗料のところに、シリコンゴムで出来たタンポ(さっきのゴムボール) を押し付け、シリコンゴム上に塗料を転写する。 これを、被写体の指定の場所に押し付けて転写をして完了! と言う工程である。 銘版: メイバン、ネームプレートとしてご存知の工法。 オーディオ製品や、車の車種、など高級製品と思われたい製品のロゴの 部分に使われることが多い。 SONY や Panasonic といったロゴを目にするが、凸の突の部分にこれらの 文字が描かれた一枚の板のようになっているのは、フレクションプレスという 工法で製造された純アルミに近い銘版である。 プレスで凸字の文字連をつくりこれに塗装やメッキを行なう、凸の先端の部分を ダイアモンドのカッターで一皮向くと、きれいな金属の光沢面が出現する。 これが、一般に目にするネームプレートになる。 時計の文字盤(1、2、3やT、U、Vといった時刻文字やロゴ)のように活字が 一つ一つ切り離されていたり、文字が小さくてプレスの連字文字板では製造 出来ないものは、「電鋳」の進化した工法で作られている。 電鋳とプリント基盤の工法を複合した特許工法で作られている。 簡単に言うと両面テープの上にニッケルや金などの50ミクロン程度の文字が 配置されたシールになっていて、これをそのまま時計の文字盤などにおいて セパレーターのシールをはがすと、1時から12時までのもじが綺麗に一度に 印字される。 最近では、携帯デジタル機器の筐体に使われている。 デジタルカメラなどのケースのロゴの部分を0.2mm程度凹座にして、電鋳の 50μの文字を貼り付ける、従来のプレス銘版では出来ない仕上がりだ。 |