今回は開発関係の技術者のお役立ち講座です。 タイトルの注型とラバーキャストは小ロットのモデルを作るとき便利な工法です。 貴社で、こんな経験はないでしょうか? 樹脂モールドで作った部品が、実機で強度不足が発覚した・・・! 樹脂モールドを金属に置き換えたいが?どんな金属がいいのか? 強度はもつのか?質感は? 金属部品をコストダウンで樹脂モールドに切り替える。 質感は悪くならないか?重量バランスは大丈夫か? 削りだしのモデルではお金が掛かってしょうがない! こんなとき、参考にして下さい。 ※ ハイテクの分野から考えると、光成形、金属光成形などの技術が現在は 注目を浴びています。 これらの技術はマシンが非常に高価なものとなりますので、マシンメーカーの スペックを越え、現場での工夫が織り込まれていくという段階までは普及して いないように感じます。
1.まずモデルが必要。 強度不足のモールド!? 5軸のマシニングで作ったモデル。廃盤になった部品。 金属・プラスチック・木・ガラス・石などなど20kgで押し潰れない物なら大丈夫。 2.モデルを天然ゴムやシリコンゴムの二枚のディスクの間に挟む。 ディスクの厚みは20mmしかないから2枚で40mm。間に挟む部品の高さはこの 半分の20mmに抑えるのが普通。 ![]() 3.万力でプリンティング 万力で(ゴム)+(マスターモデル)+(ゴム)の サンドイッチを締め上げ、モデルの形状をゴムに 記憶させる。 アンダーカットの部分にもゴムが回りこむ。 ![]() ゴムは熱硬化タイプになっているので、記憶させた 形状の安定化の熱処理を行う。 5.マスターモデルを取り出す 熱硬化したら2枚のゴムディスクの間からマスターモデルを 取り出す。 (サンドイッチの間のハムを抜き取るイメージ) 上の写真がゴムの間から削りだした金属サンプルを取り出した写真。凹みをキャビティー と言う。 6.ランナーをナイフで刻む。 熔かした金属の湯をキャビティーに流し込む湯口をカッターナイフで刻み込む。 7.2枚のゴムディスクを元のように2枚重ねする。 このときは、マスターモデルが抜き取ってあるので製品と同じ形状の空間、キャビティー とこれにつながる湯道(ランナー)が施されている。 8.ディスクを回転盤の上に載せディスク中心と回転盤の中心を合わせる 上の写真にあるようにキャビティーはディスクの中心から放射状につくる。 これは、回転盤の上で遠心鋳造法を行うためだ。 9.回転させながら、溶かした金属を流し込む。 ゴムの耐熱温度以下で溶湯する金属であればなんでも良い。 代表的な金属として、錫合金、鉛合金、亜鉛合金などがある。 10.ディスクを開いて中の金属を取り出す。 型から出てきた「たい焼き」みたいなもの、形状の周りのバリ取りを行えばコピー品の 出来上がり。 11.量産 このコピーと、マスターを使って次回は2キャビティーのディスクを作る。そして次は 4個取り。8個取りと数量を増やしていく。 ゴムディスクの平面の中に入れられるだけの多数取りが可能なわけだが、ゴムの耐熱劣化 の問題やゴム反り返り防止のために取り付けた金具のスペースなどで数量が決まってくる。 12.型寿命 金属の湯温によって大きく変わってくるが、10回から20回程度と見たほうが良いだろう。 従って8個取りで総鋳造数は80個と言うことになってくる。
樹脂の真空中継もラバーキャストに似ている。 基本的に異なるのが、ラバーキャストが固形のゴムを使うのに対して、樹脂注型の場合 液体状のゴムを使用することだ。 食物の干天。透明なカンテンの中に具が入っているのをイメージしてください。 1.やはりモデルが必要。 注型の場合圧力を掛けないので、やわらかいマスターモデルでもOK。 2.四角い箱の半分まで液体状のシリコンゴムを流し込む。 四角い箱が型になる上下に割れるように、まず半分シリコンを流し込む。 3.半分まで充填されたシリコンの液面の上にマスターモデルを置く。 マスターモデルの重さに合わせて、硬化途中のシリコンゴムの上にモデルを乗せる。 4.箱の残り半分をシリコンで充填する。 マスターモデルの全てを覆いこむように、箱いっぱいまでシリコンを流し込む。 5.硬化を待つ。 6.中からマスターを取り出す。 カッターナイフを使って後で型として使えるように配慮しながら、マスターモデルを切り出す。 四角柱のシリコンゴムの高さの中ごろを型割のように横に切り開く。 7.湯口をつける。二つ重ね合わせたシリコンゴム型の出来上がり。 8.真空炉の中にシリコンゴム型を装着する。 9.真空に減圧する。 10.真空炉中のシリコン型の上部に取り付けられた溶解炉で樹脂を溶かす。 事前にセットされた樹脂を電気炉で溶かしていく。 11.溶解した樹脂をシリコン型に流し込む。 適温に樹脂が溶解されたら、シリコンゴムの型に流し込む。 この作業は真空炉の外から、遠隔操作によって行われる。 12.真空をバルブを開く。 真空炉中で型に樹脂の注型が完了した直後に、真空のバルブを開き炉内の圧力を上げ 樹脂を一気にシリコン型の隅々まで充填させる。 これを、真空鋳造法と呼ぶ 13.型から取り出して完了。 14.樹脂の種類としては 二液性ウレタンかエポキシ 型は二液性シリコンゴムで耐熱60℃ End |